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下請取引の適正化について

 公正取引委員会及び経済産業省は、日頃より、下請代金支払遅延等防止法違反行為への厳正な対処を行うとともに、同法の普及啓発を行っております。

<中小企業の取引環境>
 我が国経済は、景気の緩やかな回復基調が継続する中、中小企業の業況は緩やかな改善基調の中にも一服感が見られ、原材料価格の上昇や人手不足への懸念等、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。また、これから年末にかけての金融繁忙期を迎えるに当たり、下請事業者の資金繰り等について一層厳しさを増すことが懸念され、親事業者が下請代金を早期にかつ可能な限り現金で支払い、下請事業者の資金繰りに支障を来さないようにすることが必要です。

<下請法の理解と下請代金支払の適正化>
経済の好循環を実現するには、下請等中小企業の取引条件を改善していくことが重要という問題意識の下、政府を挙げて下請対策の強化に取り組んでおり、平成28年12月には、①違反行為の未然防止や事業者による情報提供に資するよう、下請法に関する運用基準を改正するとともに、②親事業者による下請代金の支払についても
〇下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること
〇手形で下請代金を支払う場合は、割引料を下請事業者に負担させることがないよう下請代金の額を十分に協議すること
〇手形サイトは、将来的に60日以内とするよう努めること
を旨とした通達を発出したところです。
引き続き、下請取引の適正化に努めるようにしてください。

<働き方改革>
 政府を挙げて働き方改革を推進しておりますが、取引の一方当事者の働き方改革に向けた取組の影響がその取引の相手方に対して負担となって押し付けられることは望ましくないと考えられます。
 人手不足の深刻な中小企業の経営悪化が懸念される中、極端な短納期発注等は、取引先における長時間労働等につながる場合があり、下請法等の違反の背景にもなり得ますので特に御留意いただきたいところです。

<災害時における取引条件について>
 平成30年7月豪雨や北海道胆振東部地震のほか、台風等による災害も発生しており、被災地域における事業者と取引のある全国の事業者に影響が広がっております。
親事業者が、災害等の発生を理由として、下請事業者に一方的に負担を押しつけることにより、取引のある経営基盤の弱い中小企業・小規模事業者に悪影響を与えることのないようにしてください。

<消費税の円滑・適正な転嫁について>
 2019年10月1日から消費税率が、8%から10%に引き上げられると同時に、消費税の軽減税率制度が実施されます。親事業者は、減額や買いたたき等による消費税の転嫁拒否等の行為が生じないようにしてください。

<下請取引の適正化に向けた取り組みのお願い>
親事業者となる企業においては、下請事業者と協議をした上で適切な対価の決定を行う、事前に定めた支払期日までに下請代金を全額支払うなど、下請法の遵守に取り組むようにしてください。
特に下記の記載事項については適切な措置を講じるようにしてください。

下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)に従い親事業者の遵守すべき事項
1 親事業者の義務
(1)書面(注文書)の交付及び書類の作成・保存義務
・下請事業者に物品の製造や修理、情報成果物の作成又は役務提供を委託する場合、直ちに注文の内容、下請代金の額、支払期日、支払方法等を明記した書面(注文書)を下請事業者に交付すること。(下請法第3条)
・注文の内容、物品等の受領日、下請代金の額、支払日等を記載した書類を作成し、これを2年間保存すること。(下請法第5条)
(2)下請代金の支払期日を定める義務及び遅延利息の支払義務
・下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者から物品等を受領した日から60日以内において、かつ、できる限り短い期間内に定めること。(下請法第2条の2)
・支払期日までに下請代金を支払わなかったときは、下請事業者から物品等を受領した日から起算して60日を経過した日から支払をするまでの期間について、その日数に応じ、未払金額に年率14.6パーセントを乗じた額を遅延利息として支払うこと。(下請法第4条の2)

2 親事業者の禁止行為
親事業者は次の行為をしてはならない。
(1)受領拒否の禁止
・納品された物品等が注文どおりでなかった場合等を除いて、注文した物品等の受領を拒むこと。(下請法第4条第1項第1号)
(2)下請代金の支払遅延の禁止
・支払期日の経過後なお下請代金を支払わないこと、すなわち下請代金の支払を遅延すること。(下請法第4条第1項第2号)
例えば以下の行為は禁止行為に当たります。
-受け取った物品等の社内検査が済んでいないことや社内の事務処理の遅れを理由に下請代金の支払を遅延すること。
(3)下請代金の減額の禁止
・下請事業者に責任がないのに、発注後に下請代金を減額すること。(下請法第4条第1項第3号)
(減額の名目、方法、金額の多少、下請事業者との合意の有無を問わない。)
例えば以下の行為は禁止行為に当たります。
-単価の引下げ改定について合意した場合に、合意前に既に発注されているものにまで新単価を遡及適用すること。
-手形払を下請事業者の希望により一時的に現金払にした場合に、その事務手数料として、下請代金の額から自社の短期調達金利相当額を超える額を減ずること。
(4)返品の禁止
・取引先からのキャンセルや販売の見込み違い等、下請事業者に責任がないのに、下請事業者から物品等を受領した後、下請事業者にその物品等を引き取らせること。(下請法第4条第1項第4号)
(5)買いたたきの禁止
・同種、類似の委託取引の場合に通常支払われる対価に比べて著しく低い下請代金の額を不当に定めること。(下請法第4条第1項第5号)
例えば以下の行為は禁止行為に当たります。
-親事業者の予算単価のみを基準として、一方的に通常の単価より低い単価で下請代金の額を定めること。
-多量の発注をすることを前提として下請事業者に見積りをさせ、この見積価格を少量発注する場合に適用すれば通常の対価を大幅に下回ることになるにもかかわらず、その見積価格の単価を少量の発注しかしない場合の単価として下請代金の額を定めること。
-短納期発注を行う場合に、下請事業者に発生する費用増を考慮せずに通常の対価より低い下請代金の額を定めること。
(注)買いたたきの事例等を解説した「ポイント解説下請法」も御参照ください。
公正取引委員会又は中小企業庁ホームページからダウンロード可能です。
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/pointkaisetsu.pdf
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2018/181101pointkaisetsu.pdf
(6)物の購入強制・役務の利用強制の禁止
・正当な理由なくして、自社製品、手持余剰材料その他自己の指定する物を下請事業者に強制して購入させたり、役務を強制して利用させること。(下請法第4条第1項第6号)
(7)報復措置の禁止
・下請事業者が親事業者の違反行為について公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由として、取引の数量を減じたり、取引を停止するなどの不利益な取扱いをすること。(下請法第4条第1項第7号)
(8)有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
・親事業者が原材料等を有償で支給した場合に、この原材料等を用いて下請事業者が製造又は修理した物品の下請代金の支払期日より早い時期に、この原材料等の代金を支払わせたり、下請代金から控除すること。(下請法第4条第2項第1号)
(9)割引困難な手形の交付の禁止
・下請代金の支払につき、下請代金の支払期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付することにより、下請事業者の利益を不当に害すること。(下請法第4条第2項第2号)
手形サイトは、繊維業90日以内、その他の業種120日以内とすることは当然として、段階的に短縮に努めることとし、将来的には60日以内とするよう努めることとされている。(通達:公取企第140号及び20161207中第1号)
(10)不当な経済上の利益の提供要請の禁止
・下請事業者に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることにより、下請事業者の利益を不当に害すること。(下請法第4条第2項第3号)
(11)不当な給付内容の変更・やり直しの禁止
・下請事業者に責任がないのに、発注内容の変更(納期の前倒しや納期変更を伴わない追加作業などを含む。)を行い、又は下請事業者から物品等を受領した後(役務提供委託の場合は役務の提供後)にやり直しをさせることにより、下請事業者の利益を不当に害すること。(下請法第4条第2項第4号)

以上、対象となる企業におかれましては下請取引の適正化に向けた取り組みをお願いいたします。